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バンダル・アッバース

ペルシア湾

【写真】ペルシア湾

イランのヒンズー教寺院

【写真】イランのヒンズー教寺院


バムからバスに乗車してバンダル・アッバースへ向かう途中、警察の検問所にバスが停車した際に、車内に乗り込んできた男性からパスポートの提示を求められました。男性は警察官でしたが、制服を着用しておらず、当初は外国人のパスポートに興味を持った一般人が興味本位でそのような要求をしているのかと思っていました。しかし、男性の腰に無線機がぶら下げられているのを確認して、言われたとおり、男性にパスポートを提示しました。イランでは一般人が趣味やレジャーで無線機を所持することは許されていません。男性はイラン国内に麻薬類が流入するのを阻止するために、そして不法入国者を摘発することを目的として、パキスタンとの国境にほど近いバム方面から入って来るヒトやモノの検査を厳重に行っていたのでした。

バスの車内にて、バンダル・アッバース市内で魚の缶詰工場を経営しているイラン人の親子と知り合いました。親子は港の近くにある住宅街に住んでおり、その日の宿が決まっていなかった私を不憫に思ったのか、自宅に泊まるように提案してくれました。バスが深夜にバンダル・アッバースに到着したこともあり、ご厚意に甘えて泊めて頂くことになりました。セコイ話ではありますが、宿代の高い地域でしたので、大いに助かりました。

親子の自宅で食事も頂きましたが、その際、エビの唐揚げをご馳走になりました。イスラム教徒はその戒律によって豚肉を食さないという話はあまりにも有名ですが、基本的には、豚肉と同様に鱗の無い魚類やタコなども食さない習慣があります。

翌日、バンダル・アッバースの対岸にあるゲシュム島に渡りました。港の桟橋からゲシュム島行きの小型ボートに乗船することとなります。ボート乗り場には大勢のイラン人観光客が長蛇の列を作っていました。私が乗船したボートにも何組かのイラン人家族が乗り込んでいましたが、家族を引率している家長である男性は妻子に対して威厳を示そうとして舞い上がっていたのか、家族以外の者に対してもあれこれ座席の指示を行っていました。微笑ましく感じる一方、ときには煩わしく感じる光景でもあります。

ペルシア湾岸地域に点在する島々は、その他の地域に比べて物価が高いことで有名です。イラン国内でタクシーに乗る場合、余程のことがない限り、かなりの長距離であってもせいぜい数万リアル程度の料金で乗車することができますが、ペルシア湾岸地域に点在している島々でタクシーに乗ろうとすれば、数十万リアル単位の料金を請求されてしまいます。ゲシュム島に渡って、港の周辺で客待ちをしていたタクシーの運転手に料金を聞いて、そのあまりにも高い金額に驚いてしまいました。バンダル・アッバース市街を走っているタクシーの料金とは雲泥の差がありました。しかし、料金は高いものの、本土で使われているような廃車同然の車はあまり見掛けませんでした。一年を通して高温多湿であり、常に塩分を含んだ大気に車体が晒されていることで車の耐用年数が必然的に短くなってしまうのでしょう。

近年、この付近のペルシア湾海域でアメリカ海軍とイラン海軍があわや武力衝突する危機が発生しました。1988年7月3日、バンダル・アッバース発ドバイ行きのイラン航空655便がイラン領海内のペルシア湾上空でアメリカ海軍の巡洋艦ビンセンスによるミサイル攻撃を受けて撃墜されました。一歩間違えば、同じ悲劇が繰り返されていたところです。

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