ヨルダンの旅

クリフホテルにて

【写真】クリフホテルにて


シリアの首都であるダマスカスからヨルダン・アンマン行きのバスに乗車するため、ヨルダン方面行きのバスターミナルであるガラージュ・バラムケに向かいました。バスのチケット(350SP)は出発前日に購入しており、バスの発車時刻である15時までバスターミナルで写真を撮って時間を過ごしていました。するとどこからともなく2人組の男性が目の前に現れて、写真を撮っている理由を尋ねられた上、パスポートの提示を求められました。男性たちはシリアの公安警察でした。男性たちにパスポートを提示して、私は旅行者であり、これから自分が乗車するバスの写真を撮影していた旨を伝えると、男性たちは私の事情説明にすんなり納得してくれました。スパイ活動をしていると勘違いされたのでした。

シリアを出発して2時間ほど経過したころ、国境に到着しました。バスが国境のゲートに到着すると乗客全員がバスから降ろされ、手荷物品の検査が始まりました。しかし、検査は形式的なもので、それほど時間はかかりませんでした。その後、パスポートに出国スタンプを押してもらい、シリアの出国手続きは完了です。

それから更に20分ほど経過したころ、ヨルダンの国境に到着しました。入国に際して日本人はビザ代を免除されていますが(無料発行のアライバルビザ)、同行のポルトガル人は入国審査官からビザ代として20ユーロ相当の金銭を請求されていました。

19時頃、バスはアンマンのアブダリ・バスターミナルに到着しました。僅か4時間足らずで首都から首都への移動が出来ました。翌日、このバスターミナルからパレスチナに向かうこととなります。

アンマンでの宿泊は、世界を旅する旅人たちから賞賛されている、サーメル氏が勤めているクリフホテルに決めました。サーメル氏に対する印象を率直に書くと、常に他人に配慮しながら生活しているような、争いごとを好まない、心の穏やかな男性のように感じられました。

サーメル氏は気配りの人でした。本来であれば有料のはずのコーヒーや紅茶を無料で提供したり、また、聞かれたことに対して誠実な受け答えをする人でした。多くの旅人から賞賛されているのも頷ける話です。クリフホテルはサーメル氏のお陰で経営が成り立っていると言っても過言ではないでしょう。また、ホテルの経営者はサーメル氏に足を向けて寝ることが出来ないと思うのですが、聞くところによるとホテル経営者のサーメル氏に対する待遇はあまり良好ではないようで、こんな境遇のサーメル氏を応援する目的でサーメル募金なる募金活動が自発的に行われていました。将来、サーメル氏は自分のホテルを持つことを目標としているようですが、その道はかなり険しいことであろうと思われます。

クリフホテルは、イラクで誘拐されたあと殺害された日本人男性が宿泊していたホテルとしても有名です。ホテルに備え付けられている、ゲストブックに書き込まれていた話によると、イラクに渡航するにあたり、日本人男性はサーメル氏にいくつかアドバイスを求めたとのことでした。それに対してサーメル氏はイラクの治安状況を憂慮してイラクへの渡航を断念するように再三に渡り説得を試みたものの、日本人男性の渡航の決意は固く、サーメル氏の説得に応じることは無かったとのこと。そこで苦肉の策として、せめて日本人男性がバグダッド市内までは問題なく行けるようにと、サーメル氏はアンマン市内からバグダッド市内に向かうバスのチケットを手配してあげたとのことでした。その後の顛末は皆の知るところです。

クリフホテルの周辺には何軒かのDVDショップが営業しており、店内に設置されているスピーカーから大音量でアラブの流行曲が流されていました。夜になっても音楽は鳴り止まず、ベッドに横になっても、しばらくの間は音が気になって眠ることが出来ませんでした。まるでバンコクのカオサンロードにでもいるような気分でした。

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