

| 在シーラーズのキャリム・ハーン城塞の前を通りかかった際、豹柄の服を着て、頭にバンダナを巻いて芸に勤しんでいる大道芸人の男性に出会いました。 大道芸人はいくつかの演技を観客に披露したのち、取り囲むようにして見学していた大勢の観客のなかから二人の青年を選び出し、自身の首に手をまわして、しがみつくように依頼しました。青年たちが大道芸人の首にしがみついて、全ての準備が整うと、大道芸人は身体を勢いよく回転させて、しがみついていた青年たちを振り回し始めました。時間にしておよそ10秒間、大道芸人は顔を赤らめて、首筋に血管を浮き上がらせながら、一心不乱にひたすら回転し続けていました。 回転ワザが終了すると今度は、釘を打ち付けて剣山のようにした板の上に自らの腕を置き、別の観客に対して腕の上に乗るように依頼しました。そして観客が腕の上に恐る恐る足を乗せて体重をかけ始めると、大道芸人は「ヤ・アーリー!」と大声で呪文を唱え始めました。この秘伝の呪文を唱えると、超人的なチカラを発揮させることが出来るのでしょう。無事に演技が終了すると、腕に釘が突き刺さっているかのような仕草を見せながら釘を打ち付けた板を腕から勢い良く引き離し、観客に腕を見せて、怪我をしていないことをアピールしていました。 腕ワザが終了すると、仰向けになって地面に横たわり、先ほど使用した板の、釘が出ている部分を自身の腹に向けて乗せて、同じ要領で、観客に対して板の上に乗るように依頼しました。この際も、秘伝の呪文を唱えていました。「ヤ・アーリー!」と。 演技が無事終了すると、大道芸人は何やら観客に向かって演説を始めました。「これらの芸は鍛錬された者しか出来ない高等かつ危険な芸なんだ。決してマネしようなんて考えないで欲しい。特に、そこのキミ!」みたいなことを演説していたのでしょう。 演説が終了した直後、それまで大道芸人の演技を見学していた大勢の観客は、先を競うかのようにして、大道芸人が用意した箱のなかにお金を入れ始めました。 イランには純朴な人々が多数います。
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