

| 【写真】イラン・イラク国境付近にて |
| アフヴァーズからイラク国境まで、タクシーに乗車して1時間足らずで行けることを現地で知りました。アフヴァーズはイラン・イラク戦争の際の激戦地区であるため、撃墜されたイラク軍の戦闘機や撃破された戦車の残骸が当時のままの姿で放置されているかもしれないと思い、軽い気持ちでシャラムチェと呼ばれる国境まで行くことにしました。 シャラムチェの国境施設に到着して直ぐ、職員に呼び止められ、パスポートの提示を求められました。そして要求されたとおりにパスポートを提示すると、出国手続きをするように促されました。私はイラクのビザを取得しておらず、それにイラクに入国する意志も毛頭なく、ただ単に国境付近を見学するためだけに来たことを説明しましたが、いくら職員に説明しても理解してもらうことが出来ませんでした。 何度か繰り返し状況説明すると、イラク入国のためのビザを持っていないことやイラクに入国する意志がないことを分かってもらえ、安堵したのも束の間、再び「スタンプを押しなさい」と言われてしまいました。スタンプとはすなわち出国スタンプのことであり、観光地に置いている記念スタンプではないことは明白な訳で、これ以上、この職員に説明しても時間の無駄であり、トラブルのもとであると判断して、職員を無視して国境の施設を後にしました(後になって考えると、この男性は国境職員などではなく、訳も分からずに首を突っ込んできた一般人のようにも考えられます)。 職員に引き留められることもなく、施設から出られたのは良いものの、アフヴァーズ市内に戻るタクシーがなかなか見付からず、仮に見付かったとしても法外な料金を請求するドライバーしかおらず、どうやって市内に戻ろうかと思案しているとき、後ろの方からけたたましい車のクラクションが聞こえて来ました。クラクションが鳴っている方向に目を向けると、小型乗用車に乗っている、私に向かって手招きしている男性と女性がいることに気付きました。男性は、「これからアフヴァーズの自宅に帰るので、私たちと一緒にアフヴァーズに行きましょう。」と親切に声を掛けてくれたのでした。帰りの足を探して国境付近を彷徨っている姿を見かねて、声を掛けてくれたのでしょう。 このようにして無事に国境を離れることが叶い、また、先ほどの男性の自宅に招いてもらうことができました。外気温は50度近くに達しており、走行中の車の窓を開けても熱風が顔に直撃するような過酷な状況でしたが、エアコンの効いた部屋に通されて、冷たい飲み物をご馳走になり、心身ともに助かりました。もしこの男性の車に乗ることが出来なかったとしたら、厄介なことになっていたことは容易に想像できます。そして、しばらくご自宅で休憩させてもらったあと、アフヴァーズ市内にある長距離バスターミナルまで車で送って頂きました。何から何までお世話になってしまいました。 この後、イスファハンに行くことになりましたが、イマーム広場で出会った土産物店の男性に今回の顛末を話したところ、その土産物店の男性とシャラムチェで私を助けた男女は親戚関係にあることが分かりました。アフヴァーズの男性に教えて頂いた携帯電話の番号が、土産物店の男性の携帯電話に記憶されている番号と完全に一致していました。世の中は広いようで狭いです。
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